遺言書

相続手続の画像

生前に遺言書を作成するメリットについて説明します。

一般的には、なかなか遺言書の効力は知られていないかもしれませんが遺言書の効力について、

生前にきちんと把握しておけば、実は大変有効な生前対策と言えます。

目次

遺言書作成の最大メリット

遺産分割協議がスムーズに進みます

 遺言がない場合、原則として亡くなった方の法定相続人全員が 遺産相続に関して協議を行い、遺産分割が行われるのですが、 なにより遺産分割協議で一番大変なことは、相続人全員の意見をまとめることです。

 たった一人でも不同意な者がいれば、それこそ骨肉の争いとなり、 いわゆる遺産相続争いにつながりかねません。

 遺産相続で争いになってしまう多くのケースが、「私には遺言書なんて必要ない」と 安易に考え、遺言書を残さなかった方というのが、残念ながら実状です。

 自分の死後、残る財産に関して相続人にどのように遺産分けをして欲しいかを 明確に書き留めておけば、こうした遺産相続争いを防ぐことができます。

 相続争いは、自分の子供以外にも、子供の配偶者やその両親、 また、相続人となった自分の兄弟やその関係者など、 幅広い人間関係が絡んできてしまうのが、その複雑たる所以です。

 従いまして、遺言書は、親族全員の平穏を導く保険とも言えます。

自分の思い通りに財産を分けられます

自分の思い通りに遺産分割をして欲しい場合、 遺言書を作成し、充分な生前対策を行っていれば、ほとんど自分の思い通りに 財産を分割し、相続させることができます。

「配偶者に、全部相続させたい」
「法定相続人以外のお世話になった人に財産を譲りたい」
「この人には、他の相続人よりも多めに相続させたい」
などが、法定相続のみでは実現しない、よくある希望です。
この他、認知していない子を遺言により認知するという身分行為も実現できます。

 ただ、相続を受ける相続人の立場にも立った遺言にしないと、かえってもめごとの種になることもあります。

 上記法的な行為の実現以外にも、大切な人を亡くし、悲しんでいる親族へ 最後の想いを伝えることも可能です。そんな言葉を付け加えれば、思いやりと感動の詰まった、印象的な手紙となります。

遺言書の種類

遺言は、自分の財産を託す法的な手段として生前に行なわれるものです。

遺言には、自筆で文字として残すことや個人で作成する必要があるなど、いくつかのルールがあります。

以下に、3種類の遺言書についてご紹介します。

自筆証書遺言

本人が、本文の全文・日付・氏名を自筆で書いた書面に捺印したものです。

用紙などはどのようなものでも構いませんが、ワープロや代筆ではなく 必ず自分で書いていることが、遺言としての条件となります。

自筆証書遺言の主なメリット・デメリットは?

~自筆証書遺言のメリット~

  • 費用を掛けずに作成できる
  • 遺言内容の秘密が確保できる
  • 遺言したこと自体を秘密にできる


~自筆証書遺言のデメリット~

  • 遺言者にとっては遺言内容の実現が不確実
    (誰にも見つけられなかったり、破棄されたりするおそれがある)
  • 開封時、遺族は家庭裁判所の検認が必要
    (検認を経ないで遺言を執行すると5万円以下の過料に処せられる)

公正証書遺言

本人に代わり「公証人」と呼ばれる人が筆記したものです。
公証人役場に出向き、証人2人以上の立会いのもとで遺言の内容を話します。
※相続人になる可能性のある人(推定相続人)、直系血族、未成年者、 受遺者などは、公証人役場での証人になることはできません。
公証人により記録された文章や筆記の正確さを 本人と証人で確認し、それぞれが署名・捺印をする必要があります。
これに、公証人が、公正証書遺言の形式に従って作成した旨を記載し、 最後に封紙に日付を記録し、本人と証人と共に署名・捺印して作成します。
なお、言葉の不自由な人や耳の不自由な人の場合は、 本人の意思を伝えることのできる通訳を介して、同様に遺言を作成できます。

公正証書遺言の主なメリット・デメリットは?

~公正証書遺言のメリット~

  • あらかじめ公証人により違法や無効の有無をチェックされているため、最も確実に遺言を残すことが出来る
  • 開封時の家庭裁判所の検認が不要(手続きや費用が浮く)
  • 遺産分割協議が不要
  • 公証人役場に原本が保管されるので、正本・謄本を紛失しても 再発行請求ができる


~公正証書遺言のデメリット~

  • 作成に費用が掛かる(公証人手数料)
  • 遺言内容を公証人と2人以上の証人に知られる

秘密証書遺言

公正証書遺言と同様、公証人役場で作成するものですが 大きな違いとして、遺言内容が密封され、公証人も内容を確認できません。

 自筆証書遺言と同様、遺言内容を他人に知られずに作成できますが 開封時には家庭裁判所で検認の手続きが必要となります。

秘密証書遺言のメリット・デメリットは?

~秘密証書遺言のメリット~

  • 遺言内容の秘密が確保できる


~秘密証書遺言のデメリット~

  • 作成に費用が掛かる
  • 開封時、遺族は家庭裁判所の検認が必要
    (検認を経ないで遺言を執行すると5万円以下の過料に処せられる)
  • 遺言したこと自体を公証人と2人以上の証人に知られる


この他、例外として、本人の臨終間際に第三者に口述筆記をしてもらい、 その遺言内容を確認した2人以上の証人が、署名・捺印して作成することも可能です。

しかし、この場合の証人も、公証人役場での証人資格と同様で、 親族などが筆記したものは、歪曲の恐れもあるため認められません。

ただ、これはあくまで緊急的な措置ですので、 本人が健康でしっかりした意識状態のうちに、落ち着いた時間を作って 間違いのない遺言を作成しておくことが望ましいのは言うまでもありません。

遺言書を作成する場合に、気をつけなければいけない点も多々ありますので、せっかく作成した遺言書が、法的に認められず無効になってしまう前に遺言書作成の起案やアドバイス、遺言書に盛り込む相続財産の調査など、まずは専門家にお気軽にご相談ください。

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